今治の新たなコミュニティ 二宮敏 #里山スタジアム誕生へ
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今治の新たなコミュニティ 二宮敏 #里山スタジアム誕生へ

FC今治のコミュニケーションディレクターに就任した株式会社NINO代表の二宮敏さんに、「里山スタジアム」にかける思いを聞きました。里山スタジアムを、市民の方々とどのように繋がりながら作っていくかなど、コミュニケーションデザインの観点から教えてもらいました。

Q. FC今治に関わることになったきっかけを教えてください。

岡田さんからFC今治をどう伝えていくか相談されたのがきっかけ

岡田武史さん体制になってから、新チームが立ち上がる前の話になります。共通の知人を通じて「チームの株を取得して運営に関わるようになるから、どうブランディングしていくのがいいかアドバイスがほしい」とご相談を受けたのがきっかけです。それが2015年頃のお話です。

弊社は対外的には「デザインスタジオ」とお伝えするようにしていますが、基本的にはグラフィックデザイン、ウェブデザイン、空間デザインなど、デザインのジャンルでは大きく3つの仕事をしている会社です。さらにそこにコピーライティングであったり、映像であったり、イベント等の運営であったり、街づくりの計画を立てることであったり。そういうデザインにまつわること全般を行っています。
FC今治に関わるデザインについては、ポスターやのぼりなどの大元になるデザインを弊社で作らせていただいています。FC今治の活動は多岐に渡りますので、一貫したトーンをデザインしたり、平成30年の西日本豪雨災害では、FC今治独自の支援プロジェクト「YOU ARE NOT ALONE 」プロジェクトを立ち上げ、現地での支援活動や、被災地の子供たちを招待するなどの活動をお手伝いをしてきました。

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デザインする前の段階の「どうFC今治を知っていただくか」が重要

今年のシーズンが始まる前のタイミングで、岡田さんから「クリエイティブディレクションという立ち位置で全体を見てくれないか?」という話があったのですが、デザインで格好良くしたりトーンを整えたりするだけでなく、大事なのはそこに市民のみなさんがどう関わっていくか、選手の気持ちをどう伝えるかなど、デザインする前の段階のほうが重要なのではとお伝えしたんです。まずはコミュニケーションをきちんと考えて、それによってFC今治の活動を知ってもらうほうがいいのかなと思いました。そういうことをスムーズに行うために、クリエイティブディレクターよりもコミュニケーションディレクターのほうがいいのでは、と岡田さんにお伝えしたんです。
その後、FC今治のコミュニケーションディレクターに就任させていただき、デザインよりももう少し手前の「どうやって知っていただくか」を決めることから一緒に伴走させてもらっています。

Q. FC今治はどういった個性があるクラブだと思いますか?

市民やチームのため「こうあったほうがいい」を一生懸命やる、手作りのチーム

FC今治は岡田さんも関わっていて、たくさんの大きなスポンサーさんに支えられていて、里山スタジアムの着工も目の前で……、と順風満帆に見えると思うんです。でも改めて私がコミュニケーションディレクターとして中に入って感じることは、とにかくみなさん、やったことないことも一生懸命考えて構築されていらっしゃるということ。これはスタッフさんだけでなく、岡田さんも矢野社長も全員同じです。経験したことのないこと、でも市民のみなさんのため、チームのために「こうあったほうがいいな」と思うことを一生懸命やるんです。たとえその分野で素人だとしても。
ですから、みなさんが思われるFC今治ブランドというのは、通常であれば大きな広告代理店などが入ってブランディングされるのですが、そうではなくて、ものすごくチームの中で議論をされて一生懸命考えられている手作りのブランドなんです。そして、それが立ち上げ当初からずっとアップデートされ続けているのが、素晴らしいこと。とにかく手探りでやる。そして、もがきながら良い形を作り続けているチーム。私はFC今治というチームを、そういうふうに見ています。

Q.里山スタジアムとはどのように関わっていますか?

制作した里山スタジアムのロゴは、今治の海と緑を連想させるターコイズブルー

わかりやすいところで言うと、里山スタジアムのロゴを弊社で作らせていただきました。里山スタジアムは、スタジアムだけどスタジアムじゃない、たくさんの要素が詰まっている場所です。スタジアムは街の一部だと知っていただくために、ロゴについては、ひとつの線ですべてが繋がるようにデザインしました。ロゴの色味はターコイズブルーを採用しています。今治の海のブルーと自然の緑を連想させる色味です。文字色の茶色の部分は、大地のベースとなる土の色を採用しました。自然が連想される、可愛らしいロゴになっているかなと思います。

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ほかにもウェブのチームと打ち合わせしてどういったサイトを作るかを一緒に考えたり、「イオンモール今治新都市」内にあるFC今治のPRブースを設けるお手伝いをしたり。市民の方に「里山スタジアムというプロジェクトがありますよ」というのを知っていただくための準備を今、粛々と行っています。新しいスタジアムを、どう市民のみなさんと一緒にやっていくかを考えているところです。

市民の方々と設計のプロとの間で、どうコミュニケーションを取るかの橋渡し役

設計のプロである梓設計さんや、緑のプロである高野ランドスケーププランニングさんなど、ハードを形づくるプロフェッショナルたちが秋の着工に向けて尽力しているんですが、いつも抜け落ちてはいけないと思っているのが、どうやったら市民の方々にこのプロジェクトに参画いただけるかということ。
たとえば里山スタジアム内では畑を作る予定でいるのですが、畑を作るにはどのようなコミュニティがあればいいのかなとか、どういう方々と一緒にやればより楽しんでもらえるのかなとか。年間でサッカーの試合は30試合以下ですが、それ以外の日にこの里山スタジアムを心の拠り所として使っていただける方、一緒に里山スタジアムを作っていっていただける方、そういった方とどうやってコミュニケーションをとっていけばいいのかなど、今、ハードとソフトの間で繋げることを考えています。

Q.今治の街におけるFC今治の機運をどう見ていますか?

「私たちの街のクラブ」という意識はすごく高まっている

僕は松山に住んでいるので、メディアからの情報を通してFC今治のことを知った人たちとよく話をするんです。その中で「FC今治すごいな〜。岡田さんが来たから、こうなっているんだね。松山も頑張らなくちゃ」とかって声をよく聞くんです。ただ、これが面白いんですが、今治に行くと岡田さんの話ってあんまり出ないんですよね(笑)。多分、日常に岡田さんが入り込み過ぎてるからだと思うんですよ(笑)。
飲食店に行っても、スタッフさんや選手のみなさんがたくさんコミュニケーションを取られているので、「私たちの街のクラブ」という意識はすごく高まっているんですよね。「ワ〜ッ!」って盛り上がるというわけではなく、日常に溶け込んでいるようなアットホームな感じです。こんなに街の中にのぼりが立っているクラブなんて、ほかにないですからね。それはチームのみなさんの努力もあるんですが、それをスッと受け入れられている市民の方々も素敵だと思います。

「この子ら応援してあげよう」というサポーターの雰囲気がスタジアムにある

そして特徴的なのはスタジアムの雰囲気ですよね。よくあるJリーグのサポーターって、どんどん声を出して応援するようなイメージですが、今治は違う。勝っても負けても「この子ら応援してあげよう」みたいなサポーターの雰囲気がスタジアムにあるんですよ。「この子らが勝って喜んでくれたら嬉しい」というのが生き甲斐になっているみたいな。以前、昇格を逃したときも僕はスタジアムで見ていたのですが、「来年絶対上がるよ!」みたいな声がサポーターからすぐに上がってくる。そういう雰囲気がすごくいいなと思って見ています。

Q.里山スタジアムを今治市民のみなさんと盛り上げていくには、どうアプローチするのが良いと思いますか?

「里山スタジアムでこれやりたい!」と思ったときに、すぐ使える仕組みを作る

市民の方々に里山スタジアムを使っていただくために、さまざまな仕組みを作っていきたいなと思っています。それは「物」じゃなくて、みなさんに関わっていただける「仕組み」です。
例えばサッカーチームだと、ファンクラブっていうものがありますよね。FC今治だと「セイラーズクラブ」にあたります。ほかにもFC今治で重要な部分を担っている「ボヤージュ」というボランティアの方々もいます。そういうコミュニティに支えられてFC今治がありますが、里山スタジアムができるにあたって、新たに農業のコミュニティができたり、ランニングや散歩、ヨガ、eスポーツのコミュニティができるかもしれません。みなさんが「私、里山スタジアムでこれやりたい!」と思ったときに、ここが使いやすいような仕組みを作っていければと思っています。

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里山スタジアムというコミュニティが今治に増えることで、心の拠り所が増える

そして「ここに行けば誰かに会える」ということは大事かなと思っていて、テクノロジーが発達した世の中で、改めて人に会うといったリアルな場所の必要性をみなさんも実感されていると思うんです。里山スタジアムというのは、ここに行ったらあの人に会える、ここに行ったら自分たちが育てた野菜がある、といった、岡田さんの言葉を借りると「心の拠り所」になるんじゃないかな。里山スタジアムというコミュニティが今治の中に新たに増えることで、安心でホッとできたり、自分らしくいられたりする拠り所が増えるんじゃないかなと思っています。

Q.最後に、FC今治のファンに向けてメッセージをお願いします。

里山スタジアムの楽しい使い方を、市民のみなさんと一緒に考えていきたい

今、設計のプロフェッショナルである梓設計さんや、緑のプロフェッショナルである高野ランドスケーププランニングさん、FC今治のスタッフさんたちと、みんなで「どう市民の方々に楽しんでもらえるか?」ということを日々考えながら進めています。なので設計が途中で変わることもありますが、一貫して言えるのは、市民の方々にどれだけ受け入れてもらえるか、それだけを考えて準備しているということ。
これから工事が始まりますが、始まると徐々に形も見えてきます。それと同時に、このスタジアムをどういうふうに楽しんで使ってもらえるかということを、市民のみなさんと一緒に考えていきたいと思っています。そのときはぜひ、積極的に活動に参加してもらえたら嬉しいです。一緒に、今治らしい素敵なスタジアムを作っていきましょう。よろしくお願いします!

二宮さん

●二宮 敏 (Satoshi Ninomiya)
愛媛県西予市宇和町出身。
2013年 松山市にてデザインスタジオNINO INC.を設立。企業や自治体のブランディング、アートフェスティバルやまちづくりにおいて、物事の本質をリサーチし、ジャンルを超えたコミュニケーションデザインで、潜在的な魅力を可視化する活動を行っている。


取材・文/村上亜耶


里山スタジアムに関する想いを綴ったマガジンはこちら




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